“改装OK賃貸”だから手に入った
広い戸建てと気楽な暮らし

東京都八王子市 繁在家豊さん・歩美さん
ソノママ事例『めじろ台の家』

2019.04.25

DIY人気が高まる昨今、自分の好みや暮らし方に合わせてカスタマイズできる賃貸を求める人が増えてきています。そんな住まい手たちと空き家をマッチングし、空き家の維持管理の手間を解消するのがソノママ。空き家や空室を、オーナーから現状そのままでカリアゲJAPANが借り上げ、“改装OK賃貸”として運用、賃貸管理までを行う空き家活用サービスです。東京都八王子市にある「めじろ台の家」は、7年間空き家になっていた家を『ソノママ』で活用した事例。現在、この家を借りて住んでいるのは、30代のご夫婦。“改装OKの空き家”にどのような魅力を感じたのか、お話を伺ってきました。

広さを求めてたどり着いた「郊外の空き家」

繁在家豊さんと歩さんご夫妻。お二人が着ているスウェットとTシャツは豊さんのけん玉ブランド「KENHOLIX」のオリジナル。

繁在家豊さんと歩さんご夫妻。お二人が着ているスウェットとTシャツは豊さんのけん玉ブランド「KENHOLIX」のオリジナル。

繁在家豊さんと歩美さんは共に30代。けん玉ブランド「KENHOLIX」のオーナーである豊さんは、けん玉やTシャツなどのアイテムを自宅で製作しており、作業スペースに加え、商品の保管、撮影用具などのスペースも求めていました。当時住んでいた家は、LDKのほとんどを豊さんの仕事場として占領していた状態だったと言います。

次の家を探し始めたのと同時期に、山梨県に住んでいる友人の家に遊びに行ったんです。その家は戸建ての賃貸だったのですが、すごく広くて、その割に家賃が安くて。東京でも郊外なら広い戸建てが借りられるんじゃないかと考えました。「東京」「空き家」でインターネット検索して見つけたのが、カリアゲJAPANのウェブサイトで入居者を募集していたこの家でした。

1970年代に建てられた「めじろ台の家」。所有者の方が高齢を理由にご親族と同居することになり、空き家になっていました。

1970年代に建てられた「めじろ台の家」。所有者の方が高齢を理由にご親族と同居することになり、空き家になっていました。

「めじろ台の家」があるのは、高尾山の麓にある京王高尾線の終点・高尾山口駅から2駅手前にあるめじろ台駅。めじろ台は京王高尾線の開業に合わせて開発された住宅地で、低層の戸建てが整然と並ぶ街並みが広がっています。この家に引っ越す前は、吉祥寺に8年ほど暮らしていたという繁在家さんご夫妻。吉祥寺の街は気に入っていたそうですが、豊さんがけん玉ブランドを始めて全国に出かける機会が増え、各地でいろいろな生き方をしている人に出会ったことで、住まい方についての視野が広がったと話します。

吉祥寺に暮らしていた頃は、週に3、4回外食に行くという生活をしていた時期もありました。でも、けん玉ブランドがだんだん忙しくなって、外食や飲みに行く機会が減ってきたときに、「お気に入りの店がある」とか「美味しいものが食べたい」という理由で街に出ていたわけではなくて、「近くに店があるから」という惰性的な理由でそうしていたことに気づいたんです。地方で楽しく暮らす人たちの姿をみて、同じ時間とお金を使うんだったら、もっと有意義な使い方があるんじゃないかと思ったことが、郊外の住まいを選んだ理由でもありました。

けん玉ブランド「KENHOLIX」で、オリジナルペイントを施したけん玉やファッションアイテムを展開している豊さん。

けん玉ブランド「KENHOLIX」で、オリジナルペイントを施したけん玉やファッションアイテムを展開している豊さん。

約40年前に建てられた「めじろ台の家」はまさに典型的な郊外型住宅で、間取りは1階が2DK、2階に個室が3つ、延床面積は100㎡弱で、南向きの庭があり、駐車場も付いていました。仕事部屋が確保できる広さがあることに加え、けん玉のイベントに車で出かける豊さんにとって、駐車場付きという点も魅力だったと言います。

郊外とはいえ駅から近く、スーパーやコンビニなど生活に必要な施設は駅前に揃っています。日常の買い物はほぼインターネットで済ませていることもあり、想像していたよりも生活に不便はありませんでした。都心に勤めている妻も、以前の家は駅から離れていたので、通勤時間はほとんど変わりありません。それでいて、郊外ならではののんびりした環境と広い家に、吉祥寺で借りていた家の半分以下の賃料で住める。我ながら、賢い住まい選びができたと思っています(笑)。

「改装OK賃貸」は、家に気兼ねせずに暮らせるのがいい

板張りの壁や天井がレトロなリビング。シャンデリアは取り外す予定で、気にいるものを探しているところだそう。

板張りの壁や天井がレトロなリビング。シャンデリアは取り外す予定で、気にいるものを探しているところだそう。

『ソノママ』は、カリアゲJAPANが空き家を現状のままでオーナーの方から借り上げ、“改装OK賃貸”として賃貸運用するサービス。オーナーはリフォーム費用の投資をせずに空き家活用をすることができ、リフォーム費用の上乗せがない分、借りる人は手頃な賃料で自分の好みや暮らし方に合わせて改装できる賃貸住宅が手に入る仕組みです。

賃貸の家は一般的に「汚してはダメ」「傷つけてはダメ」というものじゃないですか。前に住んでいた吉祥寺の家は築浅できれいだったのですが、床にけん玉を落として傷をつけてしまったらどうしようとビクビクしたり、壁に画鋲を打ってはいけないと思って、壁掛け時計をマスキングテープを駆使してつけたりと、暮らすのにすごく気を遣いました。ちなみに壁掛け時計は結局、落ちてきました(笑)。

リビングはカスタマイズ未着手ですが、ヴィンテージのイームズのチェアが昭和な内装によく似合っていい雰囲気。

リビングはカスタマイズ未着手ですが、ヴィンテージのイームズのチェアが昭和な内装によく似合っていい雰囲気。


「めじろ台の家」は築約40年。古びてはいましたが、水回りの設備はそのままでも使える状態で、内装は板張りの壁や天井、レトロな照明や磨りガラスの木製建具など、古き良き時代を感じさせる内容でした。

「改装OKで原状回復義務なし」とは聞いていましたが、内見に来たとき、床を変えてもいいし、壁を抜いてもいいと言われて、驚きました。リフォームがされていない古いままの内装でしたが、それまでの賃貸住宅での暮らしに窮屈さを感じていた僕らにとっては、家に気兼ねをせずに住めるということに、大きな魅力を感じました。

2階の3室はすべて豊さんの仕事部屋に。こちらの事務作業部屋は、隣の部屋との間仕切り壁を抜いてつなげることを計画中。

2階の3室はすべて豊さんの仕事部屋に。こちらの事務作業部屋は、隣の部屋との間仕切り壁を抜いてつなげることを計画中。

繁在家さんご夫妻は「めじろ台の家」での暮らしを、「中古車に乗る感覚」と話します。古いままの内装は、ヴィンテージ感覚で楽しむ。多少の不具合が起きても、「中古車だからね」と寛容な心持ちで接することができる。自分たちが求める乗り心地に合わせて、手を加えることもためらいなくできる。入居してから3ヶ月が経ち、現在は暮らしながら、改装のイメージを膨らませているそうです。

今は、1階は生活の場所に、2階の3部屋を僕の仕事部屋として使っています。2階は間仕切り壁を壊して、部屋をつなげられないか計画しています。1階はキッチンの面材を変えようと思っていて、あとは襖も変えたいなと思っています。

オリジナルTシャツやスウェットづくりは、シルクスクリーン印刷機で。こうした機材も場所を取るため、広い家を求めていました。

オリジナルTシャツやスウェットづくりは、シルクスクリーン印刷機で。こうした機材も場所を取るため、広い家を求めていました。

『ソノママ』は、オーナーから家を借り上げているカリアゲパートナーが、その家の賃貸管理だけでなく、入居者の改装サポートを行うことも大きな特徴。カリアゲパートナーは、不動産会社や設計事務所、施工会社、リノベーション会社など、古い建物の活用や改修のノウハウを持つプロたち。改装内容の相談はもちろん、電気工事や水道工事、キッチンの設置など、DIYでできないレベルの改装工事を依頼することもできます。

改装したいと思ったときに、どんな作業や材料が必要で、いくらぐらい費用がかかるのか、そういったことがカリアゲパートナーに気軽に相談できるのは、うれしいですね。カリアゲパートナーは管理会社の立場なわけですが、これまで住んできた賃貸で、管理会社に相談事をするなんてありませんでしたし、何かを言って「出て行ってください」と言われたらどうしようと思って、とにかく関わらないようにしていました(笑)。今後は、カリアゲパートナーの方にどんどん相談していきたいなと思っています。

気楽にフレキシブルに、戸建て暮らしを楽しむ

庭があることもこの家を気に入ったポイント。ウッドチップや砂利を敷いて、商品の撮影場所に活用するつもりだそう。

庭があることもこの家を気に入ったポイント。ウッドチップや砂利を敷いて、商品の撮影場所に活用するつもりだそう。

広々とした戸建てでのゆとりある暮らしを手に入れた繁在家さんご夫妻。仕事用の部屋と住まいを別々に借りることも検討したそうですが、それぞれに賃料が発生すること、豊さんのお仕事は音やにおいが発生することから、集合住宅ではなく、仕事場と住まいを一緒にできる戸建てという選択に行き着きました。

空き家を探しているときは売買物件も見ましたが、賃貸は、住んでみて環境が合わなかったら気軽に引っ越せるのがいいところ。この家は6年契約なのですが、ライフスタイルや気分が変わったら住み替えるかもしれないので、2年ごとに契約を更新できる形にしてもらいました。

木を多用した内装やレトロな照明も気に入っていると話す繁在家さん。建物固有の魅力を活かせることも『ソノママ』の特徴。

木を多用した内装やレトロな照明も気に入っていると話す繁在家さん。建物固有の魅力を活かせることも『ソノママ』の特徴。

これからの時代、空き家はもっと増えていくだろうし、この家のように、カジュアルな感覚で住める空き家が増えると、いろんな暮らし方が増えていくんじゃないかなと期待しています。そうなったら、地方への移住や二拠点生活も、もっと積極的に選択できるようになるかもしれませんよね。

「もう普通の賃貸マンションには住めない」と笑って話す繁在家さんご夫妻。改装OKな空き家で始めた戸建て暮らしは、お二人が想像していた以上に暮らしへの向き合い方を気楽にしているようです。

「KENHOLIX」のオリジナルけん玉。ストリートスタイルなデザインは、プレイ中はもちろん、飾っているときも楽しめます。

「KENHOLIX」のオリジナルけん玉。ストリートスタイルなデザインは、プレイ中はもちろん、飾っているときも楽しめます。

 

「KENHOLIX」https://kenholix.com/

「めじろ台の家」カリアゲパートナー:Drawer(カリアゲ首都圏)

東京の空き家再生「カリアゲ首都圏
現状そのままで空き家を活用「ソノママ

interview_佐藤可奈子

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